ケイマン・スキームを利用した日米の投資家向けヘッジ・ファンド組成の指南 - BUSINESS LAWYERS (2022)
東京都は国際金融センター東京の実現に向けてさまざまなプロジェクトを推進しており、将来の東京市場の活性化に寄与する資産運用業者を増やすことを目的とし、独立系の資産運用業者の開業を支援している 1 。
ファンドの準拠法としては、圧倒的にケイマン籍が多く、新興のファンド・マネージャーにとってもケイマン・スキームを使うことが第一の選択肢としてあげられる。
そこで、本稿では、大手オフショア系法律事務所のパートナー弁護士である筆者が、ケイマン・スキームを利用した日米投資家向けのヘッジ・ファンド組成について概説する 2 。
ゴールデン・スタンダードたるケイマン籍ファンド
租税中立性
コモンローをベースによりビジネス・フレンドリーに発展
(1)より柔軟なストラテジーの選択が可能
たとえば、アセット・タイプについて制限がなく、円建て・外貨建てのいずれでもファンド持分 3 を保持でき、余剰利益のみならず、持分額から利益配当する、いわゆるたこ足配当ができる。これにより、毎月分配型のファンド、為替オーバーレイやカバードコール戦略をとるファンド等の設定ができる。
(2)スピード感
投資ビークルの設立自体は1−2営業日で可能である。規制当局であるケイマン金融庁(Cayman Islands Monetary Authority、以下「CIMA」という。)へのファンドの登録も数週間で完了する。
(3)先端的な規制フレームワーク
ケイマンは早期に強固なKYC(Know Your Client)、AML(Anti-Money Laundering)の立法・施行を行い、グローバルで採択されているFATCA(Foreign Account Tax Compliance Act)、CRS(Common Reporting Standard)にも参加し、OECDやEUの要請にも協調的であり、可能な限りOECD/EUスタンダードの法体制に合わせようとしている。
これにより、(特に機関)投資家は自身のステークホルダーに対してケイマンを利用することを正当化しやすい。
(4)「ケイマン」というブランド
(5)適切な紛争処理機関および高度人材のプールが豊富
紛争は、非常に経験豊富かつ洗練された裁判官(多くは英国本国にて高等法院以上の裁判所判事を経験)により審理され、本国ロンドンの枢密院が終審裁判所となり、本国と同水準レベルで紛争処理がなされることを期待できる。
著名なケイマン法を取り扱う法律事務所は、主に香港・シンガポールオフィスを通じて、アジア・タイムゾーンのクライアントにタイムリーにサービスを提供している。所属弁護士は、多くが英国マジックサークル等の一流ファームからリクルートされたコモンウェルス圏 4 の有資格者であり、英語のみならず流ちょうなアジア言語にて対応可能な者も多い 5 。
主要な会計事務所はケイマンオフィスを持ち、アジア主要都市のオフィスと協力して税務、監査等のサービスを提供している。
投資ビークルおよび基本的なストラクチャー
ケイマンにて利用可能な投資ビークルの種類
- 免除会社(Exempted Company)
- 免除リミテッド・パートナーシップ(Exempted Limited Partnership: ELP)
- 分離ポートフォリオ会社(Segregated Portfolio Company: SPC)
- LLC(Limited Liability Company)
- ユニット・トラスト(Unit ヘッジの定義 Trust)
世界的な潮流としては、オープンエンド型のヘッジ・ファンドについては、免除会社が主要な投資ビークルとして選択される 7 。他方で、日本では後述の理由からユニット・トラストが最も人気を博している 8 。
そこで、本稿では、免除会社およびユニット・トラストについて解説する。
免除会社およびユニット・トラスト
(1)免除会社
ケイマン会社法は英国会社法を基礎とし、その性質は世界各国で設立されるいわゆる “(株式)会社” ヘッジの定義 ヘッジの定義 に類似しているが、さまざまな面で他法域の会社に比して柔軟な制度設計が認められる。
免除会社のステータスを有する会社については、取締役をケイマン居住者に限定する、年次取締役会/株主総会をケイマン領域内で開催しなければならないといったローカル要件はなく、ファンド・マネージャーが自身の居住地から操作することが容易である。
投資ビークルたる免除会社は議決権を有するマネジメント株式(Management Share)とこれを有さない参加株式(Participating Share)を発行し、投資家は参加型株式を取得することになる 9 。
(2)ユニット・トラスト
ユニット・トラストは、1925年英国信託法を実質的に基礎とするケイマン信託法 10 に基づく。そのコンセプトは、投資家が、信託証書(Trust Deed)に基づき、ユニット・ホルダー(Unitholder)としてその資金を信託の形態で受託者(Trustee)に出資してプールし、その対価として出資額に応じたユニットが発行され、利益分配 11 に預かるものである。
ユニット・トラストが特に日本のファンド・マネージャーおよび投資家に好まれるのは、歴史的に用いられてきた、日本の投資信託との類似性がある、会計上や税務上のメリットがある、といった理由があげられる。
いわゆるアンブレラ型ユニット・トラストが一般的であり、これは各サブ・トラストに共通する部分をくくりだした信託証書の「ひな形」としてマスター・トラストを作成し、これを各サブ・トラスト設立の際に貼り付けることでドラフティングの手間・時間を省略できるものである 12 。
日米の投資家へ同時に訴求するマスター・フィーダーストラクチャー
日本の投資家をターゲットとする場合、投資家資金を吸収する投資ビークルはユニット・トラストを用いるのが第一選択肢となろう。他方で、ユニット・トラストは米国をはじめ他国の投資家に対しては決して一般的であるとはいえず、米国投資家への訴求には向かない。また、米国投資家については、米国税務および規制法上の要請から、一般的には米国エンティティへ直接投資する必要が生じ、多くの場合はデラウェア州準拠のLLCやリミテッド・パートナーシップが投資ビークルとして選択される 13 。これに対し、日本の投資家は、不必要に米国税務、法務または規制の問題に引き込まれないよう、米国投資家と同一の投資ビークルへ投資することは控えたい。
そこで、日米の投資家へ同時に訴求するためには、いわゆるマスター・フィーダーストラクチャーを選択することが多い(以下のストラクチャー図を参照されたい)。
スタンド・アローン(日本投資家向け)
マスター・フィーダー (日米投資家向け)
フィーダー・ファンドとは、メインに投資を行うファンド(マスター・ファンド)に投資することを唯一の目的として作られたファンドであり、日本および米国の両フィーダー・ファンドに集められた投資家資金をまとめてマスター・ファンドに集め、投資対象への投資はマスター・ファンドから一括して行うことになる 14 。
また、一般的 15 には投資マネージャー 16 17 を選任し、投資ビークルの取締役会はその投資意思権限を投資マネージャーに委任する ヘッジの定義 18 。
ミューチュアル・ファンド法
オープンエンド型ファンド、すなわち、投資家が任意に償還可能なファンドは原則としてミューチュアル・ファンド法の規制に服する。同法において、ミューチュアル・ファンドは、「会社、ユニット・トラスト、パートナーシップで[投資家の意思で償還可能な:筆者注]エクイティ持分 19 を発行し、その目的・効果は投資リスクを分散すべく投資家資金をプール 20 し、投資家をして投資対象の取得、保持、運用または処分により利益を得せしめるもの」 21 ヘッジの定義 と規定されている 22 。
圧倒的多数のヘッジ・ファンドはミューチュアル・ファンド法4条3項に基づく登録(「4条3項ファンド」)であり、本稿の解説ではこれに限定する。
4条3項ファンドの登録要件
(1)投資可能な投資家
(2)目論見書のファイリング
CIMAが定める必要的記載事項 23 を開示する必要があり、原則として①募集対象となるエクイティ持分の重要事項、②その他投資家のインフォームド・コンセントに資する重要事項が対象となる。
(3)関係書類の提出
- CIMAへの申請書
- ビークルの認証書類 24
- ビークルの基本規定 25
- 監査人の同意書
- ファンド・アドミニストレーター(あれば)の同意書
- ストラクチャーチャート ヘッジの定義
- AMLオフィサーの詳細(CV等)
(1)取締役に関する制限
取締役 26 はフォーアイズ原則により、2名の自然人 27 が必要であり、各取締役は関連法 28 に基づき、CIMAへの事前登録を行い、これを継続する必要がある。
(2)ケイマン・ローカル監査人による監査
各事業年度終了から6か月以内 29 に、監査済み報告書をCIMAに対して提出することが必要である。
財務書類は、国際財務報告基準(IFRS)または日本、日本、スイスもしくはその他非高リスク国において一般的に認められている会計基準(GAAP)に従って作成および監査する必要がある。
(3)NAV計算
純資産価値(「NAV」)計算 30 、ファンド資産の分離管理 31 等につき、関連するCIMA基準を遵守する必要がある。
(4)重要事項の届出
(5)年次報告および年会費の支払い
毎年ファンド年次報告を提出し、1月15日までにCIMAの年会費 32 を支払う必要がある。
その他ファンド関連の主要規制法 33
反マネーロンダリング法(Anti-Money Laundering: AML)
金融口座に関する自動的情報交換(Automatic Exchange of Information: AEOI)
ケイマンはAEOI体制に服しており、ほぼすべてのケイマン・ヘッジ・ファンドは、米国との関係でFATCA、その他の国との関係でCRSに適合する必要があり、AEOIの登録、投資家の関連情報につきデューデリジェンスおよびケイマン税務情報局(Cayman Tax Information Authority: TIA)への報告を行う必要がある 35 。TIAはかかる情報を関連する対象法域の税務当局へ自動的に報告する 36 。
実質的所有者法
ケイマン・データ保護法
証券投資事業法
経済実体法
「該当事業」を行う「該当事業体」については、ケイマン領域内において経済実体創出しなければならず、かつこれをケイマン当局に報告する必要がある。投資ファンドは該当事業体の定義から明示的に排除されており、ファンド・ビークルをケイマンにおいて保有することのみをもってケイマンにおいて経済的実体を創出すべき必要性はないという点は注意されたい。
ファンド・マネージャーとの関係では、法的拘束力を有する投資意思決定を行う投資マネージャーがこれに該当すること、および法的拘束力を有しない助言のみを提供する投資アドバイザーがこれに該当しないことが重要である 38 。
ファンド組成までの基本的な流れ
以下、日本の投資マネージャーを利用したスタンド・アローンタイプの典型的なヘッジ・ファンドについて解説する 39 。本稿においては、関連する日本法については触れないため、適宜日本法弁護士に相談されたい。
投資ビークルの初期設立 40
投資ビークルの設立そのものについては、数営業日 41 で設立の認証を取得できる。ファンド名義での銀行口座開設等総務的な作業の必要性から、多くの場合はクロージングの数か月前から先行して設立が行われる。
金利リスクをヘッジすることの妥当性について検証する 金利リスクをヘッジすることの妥当性について検証する
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留意事項 2
資料はPGIMフィクト・インカムが市場動向に関する情報提供としてプロの投資家向けに作成した"TO HEDGE OR NOT TO HEDGE? INTEREST-RATE RISK, THAT IS "をPGIMジャパン株式会社が翻訳の上でレポートにしたものです。
本資料は、PGIMフィクスト・インカムが信頼できると判断した各種情報源から入手した情報に基づき作成していますが、情報の正確性を保証するものではありません。PGIMフィクスト・インカムは、米国SEC 登録投資顧問会社であるPGIM インクのパブリック債券運用部門です。
リスクマネジメントのプロセスを紹介!損失を防ぐための考え方とは
そもそも「リスクマネジメント」とは何でしょうか。
リスクマネジメントを一言でいえば、企業経営において損失を生じうるリスクを把握し、その影響を事前に回避もしくは事後に最小化する対策を講じる一連の管理プロセスのことです。しかし、リスクマネジメントが「リスクヘッジ」や「危機管理」とどこが違うのかと言われると、答えるのはなかなか難しいのではないでしょうか。そこで、リスクマネジメントとは何かをよりはっきりさせるために、これらの違いを考えてみましょう。
リスクヘッジとの違い
リスクヘッジと言えば、株式投資のポートフォリオ管理が代表的です。株式投資のポートフォリオ管理とは、投資の損益が特定銘柄の株価の上下に依存しないよう、さまざまな種類の株式に分散投資をする方法です。つまり、予想されるリスクを許容範囲に収まるよう「低減」させる、リスクマネジメントのひとつと言えるでしょう。
しかし、「低減」させる以外にもリスクをマネジメントする方法は存在します。そもそもリターンに見合わないリスクは「回避」すべきですし、コントロール可能なリスクであれば目標達成のために敢えて「許容」することも重要なリスクマネジメントです。したがって、リスクマネジメントとは経営全体から見てリスクにどのように対処するかを判断する、より大きな概念と捉えることができます。
危機管理との違い
危機管理は英語ではクライシスマネジメントと呼ばれます。クライシスとは既に起きてしまった損失であり、そうした損失を事後的に極小化するのがクライシスマネジメントです。
例えば、SNSでの炎上に対処したり、リコールなどで謝罪を行ったりする状況があります。
一方で、リスクとは将来起きうると予測される損失であり、そうした損失に事前に対応するのがリスクマネジメントです。したがって、リスクマネジメントは損失が起こる前に行う能動的な概念と捉えることができます。
以上のことから、将来発生するリスクに対して、経営としてどのように対処するかについて意思決定を行うことにこそ、リスクマネジメントの本質があることが分かります。
■リスクマネジメントプロセスの順序
では、リスクマネジメントは具体的にどのように行われるのでしょうか。順序としては、「①リスクを発見する」⇒「②リスクを分析する」⇒「③リスクを評価する」⇒「④リスクに対処する」の4つのステップで実施します。それでは、それぞれのステップについて詳しく見ていきましょう。
①リスクを発見(特定)する
はじめにリスクを目に見える形で棚卸します。具体的には、とにかくリスクをたくさん挙げることを目標に、関係者が想定するリスクをブレーンストーミングなどで抽出し、リスク管理シートにリストアップしていきます。この作業はリスク管理部門だけに頼るのではなく、さまざまな部門を参加させて行うと、網羅的にリスクを洗い出すことができます。
リスクにはさまざまな種類があるため注意が必要です。通常業務の中で想起されやすい経済リスク(為替変動など)、財務リスク(株価下落など)、労務リスク(リストラなど)のほかにも、事故・災害リスク(火災など)、訴訟リスク(PL法訴訟など)、政治リスク(制度改正など)、社会リスク(機密漏えいなど)についても多面的に洗い出しましょう。
このステップで重要なのは、まず起きないだろうと無意識に放置されているリスクや、できれば考えたくもないリスクも含めて、すべての想定されるリスクを洗い出すことです。日本では、一般的にリスクを強調することを「後ろ向き」や「大げさ」と感じて躊躇する傾向があります。しかし、リスクはそうした感情とは関係なく現実に存在します。本当は気づいていたのに気付かないふりをしていたでは手遅れになってしまいます。
②リスクを分析する
次に棚卸したリスクの重大さを明らかにします。具体的には、リスクが顕在化した際の「影響の大きさ」と「発生確率」をひとつひとつ特定し、両方を掛け合わせた結果を物差しに、それぞれのリスクがどのくらい重大なものかを比較できるようにします。
「影響の大きさ」や「発生確率」は可能な限り定量化を行います。例えば、不良品によるリコール発生の場合、過去の事例や他社の事例から「影響の大きさ」を推測し、不良品が発生する統計的頻度から「発生確率」を推計できるかもしれません。その際、商品回収による直接的な影響だけでなく、リコール対応による人件費の流出や販売の機会損失など間接的な影響も含めて考えるのがポイントです。
一方で、現実には「影響の大きさ」や「発生確率」を定量的に把握するのが難しい場合も少なくありません。例えば、先のリコール発生の場合、人命に関わる事故の発生や企業としての信頼喪失を金額に換算することはできません。リスク分析においては、こうした定性的な側面も含めて、関係者との議論の中でリスク同士を相対的に比べる必要があります。
③リスクを評価する
リスク分析が終わると、個々のリスク分析の結果を一覧として可視化します。具体的には、「影響の大きさ」をx軸、「発生確率」をy軸にとって、リスク分析の結果に従って個々のリスクをマップ上にプロットしていきます。これにより、影響度が大きく、発生確率も高い重大なリスクがどれかが誰の目にも明らかになります。
ただし、影響度が大きく、発生確率も高い重大なリスクばかりに着目すべきとは限りません。例えば、複数の中程度のリスクに対して早期に手が打てるのであれば、重大なリスクをひとつ防止したのに匹敵する効果をあげられるかもしれません。リスクの重大さだけでなく、対応の順序にも着目することがポイントです。
④リスクに対応する
最後に、優先度が高いと評価されたリスクに対して具体的な対応策を考えていきます。リスクマネジメントとリスクヘッジとの比較の中で紹介したように、リスクへの対応策はひとつではありません。ここでは代表的な対応策として、4つの選択肢を紹介します。
1. 低減:事業のポートフォリオ経営、ジョイントベンチャー化など ヘッジの定義
2. 移転:保険への加入や証券化などのファイナンス手法の活用など
3. 許容:将来の期待収益を損なわない範囲でリスクを許容
4. 回避:上記のリスク管理ができない場合に事業売却などを実施
このように、リスクマネジメントは経営を支える全社的な仕組みです。将来発生するリスクを能動的に把握し、どのように対処するかについて科学的に意思決定を行うプロセスを定着させるには、根気強いトライ&エラーが求められます。
最後にリスクマネジメント研究で著名なカーネギー・メロン大学が提唱する、企業のリスクマネジメント習熟度の5段階を紹介します。 リスクマネジメントが組織としてどこまで根付いたかの物差しとして、定期的に見直してみることをおすすめします。
① 初期段階:特定個人の経験に依存し、場あたり的な対応になりがち
② 反復段階:リスクマネジメントの共通認識が生まれガイドラインが作成されるが、現場での対応は個人に依存
③ 定義付け段階:方法論が確定し、セグメントごとにリスクマネジメントが行われる
④ 管理段階:統合的管理が成立し、プラスのリスクについて分析が可能になる
⑤ 最適化段階:リスクマネジメントが競合他社より優れ、競合のための武器になる
『ソニックフロンティア』の7分に渡るゲームプレイ映像をIGN Japanが独占公開。そびえ立つ塔を垂直に駆け上がるソニックの姿や表情豊かな「オープンゾーン 」を収録
(画像はソニック・ザ・ヘッジホッグ【公式】(@SonicOfficialJP)さんのメディアツイート / Twitterより)
『ソニックフロンティア』は ヘッジの定義 『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』シリーズ を手がけた開発チームによる『ソニック』シリーズ最新作のアクションアドベンチャーゲームだ。
本作は 「縦横無尽な新境地アクションアドベンチャー」 というキャッチコピーのもと制作されており、作品の発表と同時に公開されたティーザー映像ではオープンワールドを彷彿とさせる映像が披露されていた。
6月1日に公開されたゲームプレイ映像では、無機的なデザインの 敵キャラクターや、新アクション 、お馴染みの音速の疾走および滑走、広大なフィールドが収録されていた。
この度発表された7分間のゲームプレイ映像では、6月1日に公開された要素を、よりゆったりとした時間感覚で紹介し直すスタンスの映像となっており、マップの雰囲気やソニックの移動アクション、新要素として パズル要素 が紹介されている。
IGN Japanによると広大な本作のフィールドは 「オープンゾーン」 と呼ばれており。7分間をかけてステージを探索する映像を参照すると、広大な自然の中に転々とある未来的な装置や遺跡のようなディテールが確認でき、どことなく ポストアポカリプス のような荒んだ世界観が感じられる。
また、冒頭の塔を登るシーンでは本作で到達可能な高さの凄みや、 壁面をダッシュで垂直に登るアクション が確認できる。移動するシーンで使用されるステージギミックはいずれも高さの方向と奥行きを利用したものとなっており、地上および空中での文字通りに縦横無尽なアクションが印象的だ。
今回のゲームプレイ映像では敵キャラクターとの戦闘は描かれていないが、各敵キャラクターは ステージ上にふわふわと浮遊 しており、映像の3分5秒周辺では円盤型の敵キャラクターがソニックを検知し、しばらく追跡してくる様が確認できる。
パズル要素は、特に映像の4分10秒以降で紹介されており、3つ並ぶオブジェを操作して同じ方向に並べるシンプルなものや、グリッド状に並ぶパネルの発光する 面を一筆書きで移動するパズル などが登場する。
なかでも配置された松明の炎を消すギミックは6月1日の映像で公開されたソニックの 新アクション を活用するものとなっている。ソニックが移動の軌跡で円を描き、 円の中心に疾風を巻き起こす アクションは、敵を攻撃するほか松明の炎を消すなど、探索をクリアするためにも使用できるようだ。
それぞれのパズルをクリアすることで、マップをスキャンするようなエフェクトが発生し、マップ状に フルーツのアイテム を出現させたり、閉ざされたゲートを解放できると推測される。
まだ明らかにされていない本作の戦闘要素やシナリオ、世界観の概要は発売に向けて追って公開される。興味がある読者は ソニック・ザ・ヘッジホッグ の日本公式アカウントをフォローして発売を待とう。
WOHESC
Join us at Oregon State University | March 6-8, 2023
WOHESC Social Justice, Diversity, Equity ヘッジの定義 and Inclusion Statement
The organizers of the ヘッジの定義 Washington Oregon Higher Education Sustainability Conference (WOHESC) recognize the interconnection of environmental and social justice problems and the societal structures that cause them both. We know that sustainability efforts to date have often ignored the voices of certain stakeholders and built on existing inequalities. The WOHESC program aims to do better by presenting sustainability thoughts, research, and initiatives that focus on just and equitable economies, healthy and clean environments, and inclusive and fair societies. Furthermore, we are mindful of the fact that the most vulnerable and marginalized people will experience the worst effects of a changing climate, both globally and ヘッジの定義 in the US. We assert that creating a ヘッジの定義 more just and equitable world is fundamental to tackling sustainability issues. Accordingly, we strive ヘッジの定義 to weave diversity, equity, and inclusion throughout conference thematic elements, speakers, and attendees in ヘッジの定義 order to uplift the perspectives of those working at the intersections of social justice and ヘッジの定義 environmentalism in order to create a more ヘッジの定義 ヘッジの定義 sustainable world for everyone.
It is important to us that our conference include equity and diversity across all groups including race, color, religion, national origin, political affiliation or belief, disability, age, gender identity, socioeconomic background, sexual ヘッジの定義 orientation, institution, or industry background. Practically speaking, this means that we prioritize diverse representation in our keynote, plenary, and panel presenters; design conference themes, tours, and panels that deepen conversations and uplift work related to social justice; and weigh each independent submission's depth of engagement with justice and equity. Last, we adopt a willingness to be constantly learning and listening, knowing that we will be imperfect even as we work to tackle the urgent and overlapping crises of ヘッジの定義 our time.
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